特定非営利活動法人みんなのネットワーク
~理事会の役割とは何か?~

 亀岡市にある特定非営利活動法人みんなのネットワークは、かめおか市民活動推進センター(ガレリアかめおか内)を主たる活動場所として、NPO基礎講座や市民活動相談の対応などを行っています。その母体はかめおか市民活動推進センターの運営委員会であり、当初は行政直営の市民活動推進センターを登録団体による委員会方式で運営していましたが、現在はNPO法人となって管理運営を受託しています。受託後3年目を迎え、自主事業とのバランスや今後の方向性はいかにあるべきか、そのための理事会のあり方はどうあるべきかなど、いま一度理事全員で確認をしたいとのニーズが出てきました。そこで、戦略的な理事会となるよう議論のサポートやアドバイスにつき依頼を受け、ハンズオン支援にお伺いしました。

1.活動状況

 ワークシートに従って、議論を進めました。
 最初は理事各自の「活動のきっかけ」や「活動に期待するもの」について自由に話してもらいました。地域貢献や自身の活動団体の理想など、理事によって全く異なることが前提であることを確認しました。理事の中には「○○さんからの誘いが全て」と正直に話してくださる方もおり、一般的な会社とは違うNPO法人の特殊性を確認するきっかけとなりました。
 次に、法人の「目標」「ゴール」について自由に話し合ってもらいました。数年後に受託事業はどうなっているのか、誰がどう動いているのか、新たに地元に建設予定のサッカースタジアムにはどうコミットしていくかなど、これまであまりしてこなかった長期的な視点での話し合いをすることができました。
 これらの話し合いを通じて、「理事個人の思い」と「法人の目標・ゴール」は当初からは一致しないものの、今後、役員会などで意見交換を通じて望ましいNPO団体に向けて役員に共通の認識が共有されることが大事です。その場合、理事の役割についてNPOを中小企業に例えるならば、「役員=従業員」であり、経営と実務の両方の責任を負うことも確認しました。

2.発展の方向性と今後の取り組み

 大きな受託業務があると、どうしても目先の事業レベルの打ち合わせが主となりがちですが、今回のハンズオン支援を通じて、今後の理事会は長期的な「戦略レベル」の話し合いの場としていくことで一致しました。
 「利益」という共通目的がなく、理事各自のライフスタイルや価値観と直結せざるを得ないNPO活動においては、中長期的なビジョンを理事間で確認し合うことが非常に重要となります。ビジョンが定まっていくことで、いま現在の行政からの受託事業をどう位置付け、今後はどのような活動に力を入れていくべきかについて、組織として温度差のない意志決定を行っていくことができます。まさに、新しい働き方を「生み出し」地域の課題解決を「継続する」というちーびずの理念にも直結するものといえます。

  ●平成28年3月4日掲載 【文責】一般社団法人京都府中小企業診断協会 髙見啓一

【問い合わせ先】 京都府地域力ビジネス課(京都府ソーシャル・ビジネスセンター) 電話075-414-4865

 

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