第29回 京都ちーびず応援カフェ in 中京

 平成28年2月24日(水)「第29回 京都ちーびず応援カフェin中京」が京友禅体験工房丸益西村屋で開催されました。今回のテーマは『京町屋でちーびず発信してみよう~体験、カフェ、ショップ~』と題して、地域のちーびずに関心のある方々をはじめ、京都府地域力ビジネス課職員、京都ちーびず推進員など20名が参加されました。
 まず、地域力ビジネス課の長友課長のご挨拶、次に今回の応援カフェの会場をご提供いただいた、京友禅体験工房 丸益西村屋の西村氏より自社の紹介や工房の見学があり、その後ちーびず特産品を試食しながら参加者の活動紹介及び 3グループに分かれての意見交換を行いました。

1.京友禅体験工房 丸益西村屋の活動紹介(伝統工芸士 西村良雄氏より)

 弊社「丸益西村屋」は、明治三十八年に創業し、現在まで染色一筋に携わってきた。創業以来、業界内外の様々な環境変化を乗り越えてきたが、更なる事業継続と発展のため、平成5年に観光客をターゲットとした京友禅体験工房をスタートさせ、平成12年には京町屋を再生、運営を始めた。オープン当初は、京町屋再生の先駆けとしてメディアから多くの取材を受けた。早くから外国人観光客への対応も行ない、現在では年間来客数が6万人近くに届くまでになった。体験工房をはじめ、和雑貨ショップや町屋カフェ(現在休業中)、町屋ギャラリーを運営しているが、季節による繁閑の差が激しく、特に冬季(1月~3月)の対策が課題である。本日は、皆さんと様々な意見交換を行う中で、今後のビジネス展開を模索していきたい。


2.グループ意見交換会

 今回のグループ意見交換会は3つのグループに分かれて、『京町屋でちーびず発信してみよう~体験、カフェ、ショップ~』をテーマに、活発な議論が繰り広げられました。また、本日の試食品として、「保津川さくらプリン」(NPO法人ふるさと保津)と、「黒豆コーヒー」(アンサンブル湯浅農園ほうせん花)が参加者に提供されました。

3.総評

 丸益西村屋 西村氏より、「伝統産業もイノベーションが必要である。意見交換の中から、現在休業中のカフェの活用方法など、様々なアイデアをいただいた。また、参加者同士の出会いからコラボレーションも生まれそうである。我々は価値あるものを提供していても、発信の仕方や見せ方がまだまだ下手である。このアピール下手を何とか変えていきたい。今日は大変刺激になった。」との感想をいただきました。
 長友課長からは、「身近にあるにもかかわらず、知らなかった地域の魅力をもっと知ってもらう取り組みをしていくことが重要である。今回の意見の中では、『ちーびずギャラリー』が特に良かった。様々なコラボレーションが生まれることを期待している。」との総評がありました。

  ●平成28年3月4日掲載 【文責】一般社団法人京都府中小企業診断協会 梅林 守


【問い合わせ先】 京都府地域力ビジネス課(京都府ソーシャル・ビジネスセンター) 電話075-414-4865

◆グループ意見交換会レポート 2グループ

 

丸益西村屋さんの立地は二条城からも近く、地下鉄の駅からも便利で、近くには他にも古くからの伝統工芸品をやられている会社も多い地域。また新しいマンションもホテルも多く、住んでいる人、観光で訪れている人、働く人など様々な人にとってアクセスしやすい場所です。そんな京都市内の地域特性と京町家を活かしたちーびずを3つ考えました。
①休業中のカフェで、京都の街中で京都府内の良い物を紹介する場所を日替わりカフェやマルシェの実施
グループ内には様々な京都市街の地域の方からの参加者の方がおられました。京都産の野菜を使って加工品の生産や販路開拓を行われている方からの具体的な意見として、農産物の加工品はお土産にもできるように持ち帰りやすい形であること、販売する際に試食してもらうこと、そしてその場で伝えるストーリーが大切ということもお話しいただきました。
②付近の伝統産業の体験施設や事業者と協力して、京都の人に地元地域を知ってもらえる「ちーたび」企画
主に訪れるのは観光客で地域住民にはあまり知られておらず、付近の事業者同士のつながりもあまりないのだとか。体験工房で修学旅行生や観光客に教えている社員の方は、友禅染の出張体験教室をホテルや小学校などに出かけて実施されており、「ちーたび」のガイドも是非やっていただきたいという意見も、積極的に関わって頂けそうです。
③観光客だけでなく地域の方や町家に興味がある方も寄っていただけるような複合体験施設
伝統工法を用いて再生された町家ですが、壁の塗り方にもいくつもの手法が使われているそうです。現在の友禅体験に加えて、町家体験、また休業中のカフェを利用した料理体験など、観光客だけでなく地域の方も来てもらえる場としていくつかの体験ができる場になればという案もでました。


 従業員の方も積極的ですし、地域の事業者も巻き込んで地域の人をつなげる「ちーびず」が実現できそうです。京都市内の便利な場所にあるにも関わらず、入ったことなかったという参加者の方が多く、新たなつながりが生まれる場となりました。


  【文責】一般社団法人京都府中小企業診断協会 阪本純子


◆グループ意見交換会レポート グループ3

 グループ3内には、丸益西村屋さんからわずか数十メートルのところで、職人さんの丁寧な手作業でオーダーメイドのバッグ・袋物を製造されている事業者さんが参加されており、こちらとのコラボレーションや情報発信に関する議論が中心となり、次の3つの提案が出されました。
① 「体験」できるメニューのバリエーションの拡大 
京友禅の体験だけでなく、自分でデザインし、染めた生地でのオリジナルかばん製作体験などをはじめとして、他の様々な京都らしい体験メニューを増やしてリピーターの獲得に繋げる。バリエーションを増やし、リピーターが増えることで閑散期の集客対策にもなるのでは。
② 町家ギャラリーを活用したかばん工房の情報発信
ギャラリーを活用して、実際のかばんづくりの現場をみることができるようにする。あるいは、かばんづくりの工程を順を追って展示する。専門的な道具やその使い方もあわせて紹介することで、かばんづくりの魅力を知ってもらい、価値を理解してもらうことでオーダー受注にもつなげることが可能ではないか。
③ カフェやギャラリースペースを活用した「ちーびずギャラリー」
現在休業中のカフェのスペースやギャラリーを活用して、ちーびずの地域特産品を集めたアンテナショップ「ちーびずギャラリー」を展開する。外国人観光客や修学旅行生などをはじめとして、広く商品を知ってもらうことができる。

  【文責】一般社団法人京都府中小企業診断協会 梅林 守



 

京都ちーびず(京都地域力ビジネス)