ここ数年以内に起業された個人あるいは法人様を、診断京都の編集担当者が取材をしてご紹介するコーナーです。 創業のきっかけや創業後の取り組みについてお聞きしています。
京の起業家 No.２６
わざどころＰＯＮ
南丹市商工会よりご紹介をいただき、南丹市八木町で2017年の２月にショップ・ギャラリー・イベントスペース「わざどころPON」をオープンされた藤村香菜子（ふじむらかなこ）さんにお話を伺いました。
事業の概要を教えてください
店舗のショップ・ギャラリーでの地元作家さんの作品をはじめとした地域の手作り品などの販売と、ものづくりが体験できる講座の企画・レンタル利用もできるイベントスペースとしての運営を行っています。
あわせて、チラシ、名刺、冊子、ホームページなどの企画・製作などを行うデザイン事務所としての仕事や、作家さんの工芸体験ツアーの企画、京都丹波でオリジナルの結婚式を企画する「京都丹波ウェディングプロジェクト」なども行っています。
事業内容は多岐にわたりますが、一貫しているコンセプトは「わざへのとびらがPONとひらく！」であり、地域のものづくりの、暮らしに使えるわざを伝えることをミッションとしています。
開業の経緯は？
学生時代、京都市立芸術大学の工芸科で学びましたが、自ら製作するのではなく地域の小学校と共同し、校庭の花で染色をして発表会をする、福祉施設で自作の織機を用いて古着から布を再生する、などプロジェクト型のアートを専ら企画していました。
卒業後はウェディング会社のデザイン部門でグラフィックデザインの仕事を幅広く行い経験を積みました。その後、地域おこし協力隊として南丹市に移住し、空き家バンクの活用や地域紹介冊子の作成など、地域の定住促進を進めながら、「ものづくりのまち」としての南丹市に貢献できることを深掘りして、ご縁があり「わざどころPON」というスペースを運営することになりました。
もともと散髪屋さんだった店舗の改修にあたっては、仲間を増やしたいとの思いから、クラウドファンディングで資金を募り、DIYでできる壁塗り、床張りなどは知人の学生や、地域の方々と一緒に楽しみながら作り上げました。
そうしたつながりから、建て替えが予定されているJR八木駅舎の記録資料を作成するクラウドファンディングなどの企画が立ち上がったりもしています。
南丹市商工会からはどのような支援を受けましたか？
ネットや店頭の販売促進に小規模事業者持続化補助金を活用する際にご支援いただき、専門家派遣なども活用させていただいています。
また、知人の紹介で商工会女性部の役員もさせていただくことになり、広報誌の作成などを行っています。
現在、課題と感じていることはありますか？
出店や企画、京都府のコーディネーターなどで外に出る仕事が増えてきたため今年からスタッフを２名雇用しましたが、直接教育する時間が十分にとれないことが悩みの種です。
また、さらなる売上確保も必要と感じています。作家作品の販売チャネルを増やす目的でネット通販での取り扱いも始め、デザインや体験ツアー、ウェディングなどが作家作品をお買い上げいただくきっかけにもなっています。
定期的な講座の企画や参加でコミュニティの輪が広がり、口コミで観光案内を相談したく訪ねてこられる方もおられ、スペースとしての認知は確実に向上していますが、まだまだ模索中です。
これからの事業展開について
多岐にわたる事業のプラットフォームとしての立ち位置を明確にし、事業推進を円滑にするため、事業パートナーや地域の先輩・仲間たちと共同で法人を設立することを検討しています。
また、ゆくゆくは、わざどころPONのある八木町や南丹市が、遠方からお越しいただいた方の癒しになる「街ごとリトリート施設」となり、そのためのハブとして機能したいと考えています。
地元作家さんの体験はもちろん、近隣の川や田んぼの景観、宿泊できるお寺や日帰り温泉など、地域の良いところをどんどん紹介して、地域に住んでいる人ももっと元気になるような取り組みを一緒に進めていきたいです。
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【南丹市商工会 経営支援員 中村氏より】
藤村香菜子さんは、地域おこし協力隊に応募されて、愛知県から京都府の南丹市にいらっしゃって、起業され、まさに「地域おこし」に貢献されていらっしゃいます。クラウドファンディングも活用されたりする新進性と、地域の工芸作家さん達と交流されるコミュニケーション力で、私は補助金の申請支援がきっかけで、２年ほど前に初めてお会いしましたが、ますます活躍の場が広がっていらっしゃいます。今後の一層のご発展を期待しております。
（取材：松下 晶）
店舗情報
■わざどころPON（ポン） |