第64回 京都ちーびず応援カフェin東山区
~子育てを支えるママやパパの家事サポートを考えよう!~

 平成30年1月26日(金)「第64回 京都ちーびず応援カフェin東山区」が開催され、19名の皆さんにご参加いただきました。
 当日は小雪の舞い散る天候でしたが、会場となった小松谷児童館は法然上人ゆかりの小松谷正林寺の境内という素晴らしいロケーションにあり、歴史を感じさせる風景を眺めながら、和やかな雰囲気で始まりました。

1.「さぽかじ女性サポート」の活動とは

 まず、代表の中村敦美さんから、「さぽかじ女性サポート」を始めた経緯と活動内容の紹介がありました。
 「さぽかじ」とは、出産や子育てに忙しい家族を応援する家事代行サービスです。
 もともと大手衣料メーカーでドレスデザイナーの仕事をされていた中村さんは、新婚早々、寝たきりのお姑さんの介護と出産・子育てに直面し、一時は体調を崩すほど大きなストレスに見舞われました。
 介護保険などの公的保険ではカバーできない自費サービスの必要性を実感したことから、2013年自ら介護サポート事業を立ち上げ、さらに2016年、特に共働きが増加するなかで、快適に赤ちゃんと向き合える環境づくりをお手伝いしたいと、新たな視点での家事代行サービスを開始しました。また、身体を動かしたい元気な地元シニア世代などをスタッフに起用し、これまでの家事や子育ての経験を活かしてもらいたいとも考えています。
 産前産後の女性が安心して利用できるよう、スタッフは全員助産師さんによる専門講習を受けているほか、障がい児の家族支援も経験者の先輩ママが担当するなど、きめ細やかなサポート体制を敷いています。
 しかし、一般の家事サポートよりかなりリーズナブルな価格設定ではあるものの、顧客層である若いパパママ世代にうまく浸透していけるのか、現状では見通せないところも多くあります。



2.さぽかじの活動を多くの人に知ってもらうには

 これらのお話を受けて、「さぽかじ」をより多くの人に利用してもらうためにはどうすればよいか、地元シニア世代などスタッフを充実させるにはどうするべきかを、参加者が3班に分かれての意見交換会が行われました。
 議論では、まず課題として、日本では家事や育児関連サービスに支出することへの抵抗感が残っていること、妊産婦に労働を提供するだけでなく、気持ちに共感してあげる心のケアが重要であること、女性の社会進出増加で、世代間で受け継がれてきた家事などのノウハウ伝承が途切れつつあること、直接の親族より親世代の経験者からサービスを受けられる方がむしろ気楽な心情もあること、しかし時代も変わっているので自分の育児経験だけを押し付けてはいけないこと、など様々な観点が示されました。
 大学生から70代のシニア層まで幅広い世代、さらには、様々な職業・経歴をお持ちの方が参加されたこともあって、予定時間があっという間に過ぎるほど熱心に語り合う光景が見られました。
 発表では、まずターゲットとして、家事代行サービスを受ける本人ではなく、諸事情で手伝えない実家の方からプレゼントしてもらうギフトスタイルが有効ではないか、友人等からのお祝いでも使えないか、などの意見が出されました。
 また、家事サービスの中身を細かく伝える工夫をするとともに、派遣スタッフに親近感と安心感を持ってもらえるようスタッフブログの発信などのアイディアも発表され、先ほどのギフト告知とも併せてネット情報の充実が重要と言えそうです。
 さらにイクメン教育プランについては、なかなかアプローチが難しいのではという議論の中、男性社員の育児休暇を増加させたい企業に、対象者の教育プログラムとして売り込んでWin-Winの関係を構築してはどうか、との意見もありました。
 スタッフ募集に関しては、元気なシニアが集う街中のフィットネスジムにチラシを置いたり、看護系学生を探すなどの案が出ました。
個人から大企業まで進出が加速する家事代行サービスですが、妊産婦や障がい児家庭にターゲットを絞り込み、ご自身の経験を活かしつつ、同じような境遇の方に心から寄り添えるのは、何よりの強みと考えられます。
 今後、一歩ずつ実績を積み重ねて、地域の人たち自身が活躍し、地域を支え合う「自分も他人も幸せになるお仕事」(さぽかじホームページより)がますます広まっていくことを楽しみにしています。

●平成30年2月6日掲載【文責】一般社団法人京都府中小企業診断協会 藤村 正弘



【問い合わせ先】 京都府地域力ビジネス課(京都府ソーシャル・ビジネスセンター) 電話075-414-4865

 

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