京都ちーたび参加通信
<直売所から始まる山城のええとこめぐりシリーズ 久御山町編>

 12月13日(日)は、京都府南部の農産物直売所を中心としたちーたびシリーズ、久御山町「旬菜の里」編でした。
 メニューは、
①川嶋久治さん (直売所「旬菜の里」会長)の畑で、久御山町の紹介と町の特産 "小松菜"の収穫体験
②中央公民館内で、小松菜入りのカップケーキ手作り体験
③名物淀大根を使った専業農家の女性グループ〈あすなろ夢工房〉さん手作りの昼食とお楽しみ交流会
④「旬菜の里」でお店の方より、直売所の人気商品や特産品のご紹介
 久御山町在住の方だけでなく、もと久御山町に住まれていた方、宇治市、京都市にお住いの方などからも申込があり、13名が参加!

1.しっかり根付く久御山の地産地消を実感!

 今回総合ガイドを務めていただくのは「旬菜の里」店長の中山千草さんです。「旬菜の里」は、2004年にイオン(旧ジャスコ)久御山店駐車場内にオープンした久御山町農産物直売所で、イオンに来店されるお客様が立ち寄りやすいこともあり、いつも賑わっています。
 久御山町は京都市に隣接し、人口約16,000人。古くから稲作など農業が盛んでしたが、近年は、町の中央を通る国道1号線に加え、京滋バイパスや第二京阪道路など高速道路網が完成し、さらに大型商業施設や大小さまざまの製造業が数多く進出していることもあり、ショッピングとものづくりの町という印象が強くなっています。
 そうしたなか、農業についても、都市近郊で消費者が多いという恵まれた地域特性のほか、圃(ほ)場整備(機械化のため水田の区画を長方形に変更していくこと)など農家・行政などが一体となった農地の近代化が実施され、他地域に比べて若年層の就農が多い状況などもあり、しっかりと地域に根付いている様子がうかがえました。
 今回は、「毎月3日は 京やましろ産 ごちそうさんの日」という、山城地域の「食」の魅力発信と山城産農産物の消費拡大を参加者みんなで企画・実践するキャンペーンが始まったタイミングでもあり、久御山ブランドの野菜を収穫するだけでなく、自ら調理し、直売所へも行き、お土産をいただくという、まさに「地産地消」を実感できるちーたびでした。

2.特産小松菜を二度楽しめる収穫体験とカップケーキ作り!

 久御山町で用意していただいたマイクロバスに乗り、ガイドの中山さんから、途中玉田神社などの名所案内を受けながら、まず向かったのは川嶋さんの小松菜農園。
 町の特産品として名前が挙がる小松菜は、ハウス栽培では年6回程度収穫が可能で、京都はもとより首都圏へも出荷されているそうですが、目にも鮮やかな緑色で、どっしりとした姿かたちをしています。川嶋さんの丁寧な指導もあり、参加者は専用ハサミで根を切り落とし、無事収穫できました。
 次は中央公民館の調理実習室で、エプロンに着替えて、久御山専業農家の女性グループ〈あすなろ夢工房〉さんに手本を見せていただいた後、小松菜のカップケーキ作りに挑戦しました。小松菜を茹でずに生で使うとグリーンの発色が映えるという工夫に参加者から驚きの声も上がっていました。一見ミスマッチにも思える組み合わせですが、味もよく、何にでも合わせられる特徴を使って、小松菜の新たな需要を開拓できる可能性を感じました。
 また、当日配付された京野菜紹介などのリーフレット類には調理レシピなども数多く紹介されており、とても役に立ちそうです。

3.旬の野菜を満喫し、活発な交流タイム!

 いよいよお楽しみの昼食と交流タイムです。メニューは、あすなろ夢工房の皆さんが前日から仕込んでくださった地元産の金時人参やゴボウ、それにカップケーキには使わなかった小松菜の茎部分がふんだんに入った炊き込みご飯、淀大根の煮物、メンバーお手製の味噌を使った九条ねぎ入り味噌汁、ゆず大根、それにデザートは先ほどのカップケーキですが、炊き込みご飯やみそ汁のおかわりが相次ぐほどの人気でした。
 淀大根とは京の伝統野菜「聖護院大根の別名で、ここ久御山の一口("いもあらい"と読みます)で栽培されるものを特に淀大根と呼ぶそうです。
 皆さんの交流もあちらこちらで弾み、「今まで小松菜が硬くて苦手だったが、今日で印象が変わった。おいしい。」「淀大根はほくほくして甘い」「久御山町に住んでいるが、知らないこともあった」という声も聞かれました。今回初めて参加したという方だけでなく、すでに5回目の参加というリピーターもいらっしゃって、ちーたびの知名度が徐々に上がっていることも感じられました。
 途中、直売所さんから「コメの消費が、以前は一人年間120kg程度だったが、60kgに半減している。コメのご飯は茶碗一杯30円という極めて安い食材なので、もっと食べてほしい」とのコメントがあり、今まであまり実感がなかったのですが、少子高齢化や生活洋風化が進む中、一つの大きな課題を胸に刻みました。
 最後は、「旬菜の里」に行き、参加者それぞれが特産品を探し求め、「野菜詰め合わせセット」のお土産までいただき、解散となったのですが、中山さんから、直売所は基本的に他地域から仕入れず、地元産食材のみ販売しているとの説明があり、久御山産農産物の厚みを感じました。

4.今後に向けて

 イオンという巨大販売店舗の横にあり、しかも決して売り場は広くないものの、10年以上直売所のファンを惹きつけ、存続しているのは、地元農家の熱意の賜物だと思われます。
 今回のちーたびでは、そうした元気な久御山の農業を確認でき、参加者の満足度も高かったと思いますが、今後は歴史的な要素や旧巨椋池との関わりなど、ストーリー性のある展開が加わると、もっと立体的で深みがあるイベントになるという期待を持たせました。

  ●平成28年1月15日掲載 【文責】一般社団法人京都府中小企業診断協会 藤村正弘

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